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豆腐 「冷や奴 と 薬味」 

豆腐。この当たり前で毎日食しても飽きることの無い、美味いもの。江戸時代は贅沢品で、なかなか庶民の口には入らなかったそうだ。ルーツは中国、二千年前だと云う。

toufu.jpg

チリン チリン~♪  チリン チリン~♪
花冷えのする休日、外から懐かしい豆腐屋の鐘の音がした。急いでアパートから飛び出した。軽自動車からオバサンが降りてきたので、木綿と絹ごしを一丁ずつ頼んだ。容器代が掛かるから、出来ればボウルを持って来た方が良いと言う。目の前なのでそれを持ち出す。

すると「カラシどうします?」と言う。

驚いた私は、「カラシ~!?」と大きな声で言った。

「オタク、金沢の人でないね!?」

加賀百万石の地・金沢に赴任して、アパートに一人暮らしをして間もない頃だった。豆腐にカラシなど聞いたことも見たこともなかった。ものは試しとばかり、その黄色い練りからしを付けてもらう。その頃、今のように納豆に付いてくる小さなカラシ・パックのようなものはなく、ただ細い木べらで取って小さな紙のようなものに付けるのだ。

好奇心から早速、豆腐にそのカラシを付けて食べてみた。なんとも不思議な味である。お世辞にも上品な味とは言い難い。最初は刺激が強すぎ、抵抗があった。

その後、いつどこで定食を頼んでも、冷や奴には必ずその黄色いカラシが付いてきた。不思議なもので、いつの間にか慣れる。またこの地では、これでなきゃ物足らないという気にまでなっていた。

その頃、ゴルフ他登山・スキーに明け暮れており、日本三名山のひとつ白山は何度か登っていた。大学時代のクラブでは全日程、雨とガスに包まれ寒さに凍えた苦しい登山だったのを思い出す。アルプスと比べて決して雄雄しい山ではないが、細部になると厳しい一面を見せる奥深い山でもある。天然の岩魚も、よく釣りに入った。イワナの骨酒というのもその頃知った。そして、その麓には数多くのスキー場が点在している。帰りには必ずどこかの温泉に入り、疲れた体を癒す。翌日は、出勤。そんな暮らしが、毎週・数年間続いた。

石豆腐(堅豆腐)に出合ったのは、そんな折である。縄でくくっても、くずれないくらいに固い豆腐。縄豆腐とも呼ばれる。白山の麓、白峰村の名物でもある。折に触れては買って帰り、それを薄く切って食感を楽しんでいた。だが、こればかりは薬味として、カラシは自分には合わなかった。せっかくの大豆の素材の良さ、香りが消えてしまうような気がした。生姜をすりおろすか、ねぎを刻んで少しの醤油で食べていたのを思い出す。

「豆腐と薬味」、これほど相性云々が多く広く語られる日本の食べ物は他に類を見ない。

それは、ネギ・かつおぶし・しょうが・わさび、そして夏はシソやミョウガを刻んだのが最高である。日本人にとって、豆腐は主食に近いものと言っても過言ではない。なら、いろんな薬味を使った方が楽しめるし、四季折々の風情を味わえる。

もちろん、今でも家では黄色い練りからしを付けることもある。そんな時は必ず、あの日を想い出す。

チリンチリン~♪ という音色と共に、あのオバサンの豆腐のように冷やかな言葉。

「オタク、金沢の人でないね!?」

あれから、定食の冷や奴にカラシが付いてくることはない。



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