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「送りオオカミ」 

ニホンオオカミは、肉食獣として日本の生態系の頂点に立ちながら、狂犬病やその駆除で追いつめられ、明治時代終わりごろの捕獲記録を最後に姿を消した幻の野獣である。大陸の狼とは違い、それは体長1m前後で体重も15kg前後しかなかった。犬でいえば中型くらいの大きさでしかない。

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とっくに日も暮れた、遠い昔の月夜のこと。

爺さん 「ただいま~婆さん。今、帰った」

婆さん 「あら、遅かったですね。随分と心配してたんですよ」

爺さん 「すまん、すまん。峠の六地蔵様の傷んでたところを直しておったら日が暮れてしもた」

婆さん 「そうでしたか、今夜は満月だから夜道も平気でしたね」

爺さん 「じゃがな、実を言うと今しがたまで恐ろしかったんじゃ!」

婆さん 「どうしたんですか?」

爺さん 「六地蔵様の峠を下りたところから何やら無気味なものに、ずっとあとをつけられてるような気がしてな」

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爺さん 「振り返ると気配はなくなり、また歩き出すと時折り茂みの中からカサッって音がするんじゃ」

婆さん 「・・・」

爺さん 「それは二十間(40m弱)くらいの間を常において、あとをつけてきよる。わしゃ、ついに見た!」

婆さん 「いったい、何をですか!?」

爺さん 「茂みの中に、月夜に照らされて無気味に光る目じゃ!」

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婆さん 「あら、いい経験されましたね。夢のある・・・」

爺さん 「何~?」

婆さん 「それ、送り狼ですよ。人を襲いやしませんよ」

爺さん 「・・・」

婆さん 「いえね、私が小さい頃よく父に聞かされた話なんですがね。私の生まれ育った里山では狼が多かったそうなんです。狼ってのは縄張りがあって、特に子育て中は神経質なんだそうですよ。それで人がその縄張りから出て行くまであとをつけて、その人を見届けるそうなんです」

爺さん 「わしゃ、狼に今しがた送ってもらったのか?」

婆さん 「まあ、そういうことになりますね。これで爺様は無害だとわかったから、きっとこれからも六地蔵様の峠辺りで見守ってくれるんじゃないですか?」

爺さん 「・・・」

婆さん 「狼は家畜を襲うことがあっても、よほどのことが無い限り人を襲わないと聞いてます。それに、うちの田んぼも狼のおかげで鹿や猪に荒らされずに済んでるんだと思いますよ。狼は特に鹿を好んで獲物にするんだとか」

爺さん 「ほぅ・・・そうなのか」

婆さん 「あら、爺様。いつの間にか月夜に縁側の桜が・・・」

爺さん 「見事な夜桜じゃなぁ。一杯飲りたいねぇ、ぐいっと」

婆さん 「じゃあ、景気づけに一本つけますか」

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爺さんが夜道で見たものは、婆さんが言う通りそれは、まごうことなき「ニホンオオカミ」であったろう。記録からは、山奥ではなく、人里に比較的近いところに生活していたことがわかっている。それゆえに、明治以降は家畜を襲うなどとして伝染病も加わり駆除の対象になった。現代では皮肉にも鹿や猪の獣害が問題化している。そして「送り狼」という表現も今では当時と違った、狼にとって全くもって身に覚えのない迷惑千万な意味で使われている。かつて、いたと言われているそれら「ニホンオオカミ」は、明治38年奈良県吉野村で捕獲されたのを最後に、生息は確認されていない。

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婆さん 「ほんと風流ですねぇ。桜の花が、ひらひらと」

爺さん 「おいおい婆さん! 今、遠吠えが・・・」

婆さん 「ほんとですねぇ。あなたを送り届けて家族に無事、今から帰るぞ~! って伝えてるんじゃないんですかぁ?」

爺さん 「・・・」



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オオカミについて来られると、確かにちょっと怖いですね。
慣れれば可愛いかな?
[ 2007/04/05 15:29 ] [ 編集 ]

確かにチョット怖いかも。でも・・・
Rokujizouさんに送ってもらったら、可愛く安心♪

これが現代で使われている「送りオオカミ」の意です。v
[ 2007/04/05 20:41 ] [ 編集 ]

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